対応事案
相談概要 | 対応・弁護士からのアドバイス |
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■審美 患者さんが本日来院。歯肉の漂白の3回目を行ったところ、処置中に顔面左側の口唇の上とほうれい線の間くらいに1cmほどの白いラインを確認。もともとあったものか患者さんに確認すると先ほどからピリピリしてたとのこと。 誤ってグローブについていたフェノールが顔に付いた可能性を話し、すぐにエタノールで中和したが、「大丈夫なのか」と患者さんが不安そうだったので「おそらく大丈夫だが、万が一のこともあるので、後日確認させて欲しい」と返事をし、薬をほしがっていたので、代替として口内炎用のアフタゾロンを渡した。 こちらから明日にでも、患者さんに電話して万が一のために美容皮膚科の受診を勧めた方がよいか。その際の費用は負担することを伝えるか。患者さんへの対応や共済でのサポートについて教えてほしい。 |
状況的に、グローブについていたフェノールが顔についたということだとすれば、誠意をもって対応することが一番。 まずは電話して現状確認して、治癒していないようなら皮膚科への受診を勧めるとよい。落ち度が当方にあるのであれば、法的には、外傷の治療費や交通費を負担することが必要。 患者がどのような方かわかりませんが、交通費はともかく、少なくとも治療費は当方が負担する旨あらかじめ伝えた方が誠意が伝わるかと思う。 |
■一般治療 来院した患者さんの左上5番の神経を無断で抜いてしまった。治療後患者さんに説明したところ、「先に言ってほしかった。」「誠意を見せてほしい。」と言われた。どうしたらよいか。 |
患者は暗に補綴物代の負担を求めているが、神経を抜いたという処置に歯科医学的な誤りはないので、補綴物代等を歯科医院の側で負担する必要はない。 神経を抜かないという選択が有り得るのであれば、あらかじめ説明すべきであるが、神経を抜かないという選択が事実上ないというのであれば、「歯を抜く」という説明はしている以上、単なる治療の一行為ともいえる神経を抜くことを必ずしも説明しなくともよいと考える。 ただ、神経を抜くというのは、それなりの身体的侵襲があり、不可逆性がある行為でもあるので、あらかじめ説明をした方がベターだった。あらかじめ説明しておいた方がよかった点に鑑み、多少の慰謝料的なお金を支払って円満解決するという方法もある。 例えば、セラミック代から割引くなど。こちらの提案に満足しない場合は、「再検討します」ではなく、こちらはこれが限界だと示した上で、「具体的な案をご提示ください」等として患者にボールを投げること。 |
■インプラント 3年前より治療している患者さん。 何回も一部のインプラントがうまくつかなかった。 もともと鼻の炎症(自覚症状はなし)があったが、上顎洞炎になってしまい院長が大学病院耳鼻科を紹介し今年に手術・入院した。インプラント代金+入院・手術治療費+αを解決金として支払おうかと思っているが、対応について弁護士と相談したい。 |
(1)上顎洞炎の因果関係は必ずしも明らかでないが、院長の手技に起因している可能性が多分にあること、また、院長のトラブルを回避したいというご意向からすれば、治療費及び大学病院に支払った金額をお支払いすることには合理性があると思われる。 ただ、最初から+αを提示する必要はなく、最終的な落としどころの金額としても、まずは〇〇万円を支払うという提案をした方がベター(ただし、院長は、あまり交渉とか駆け引きとかを考えていらっしゃらないご様子でした。)。 (2)金銭を授受する際には、合意書等の書面を作成し、終局的な解決をする必要がある(そうでないと、あれは一部金のつもりだった等言われ、更なる金銭を要求される可能性がある。)。 |
■インプラント 本日、下顎のインプラントのオペをした患者さん。オペ後にCT撮影をしたら、インプラント体の先端が下顎の神経にぶつかっているように見える。 明日患者さんが来院されるが、説明する時に気をつける点などご教示いただきたい。 |
事実関係の確認が先決であり、神経に当たっているのか否か(麻痺等)を3D検査等をして確定することが重要。 その上で、接触しているのなら、謝罪した上で、治療が先決なので、高次医療機関等へ紹介等さしあげ、被害を最小限度に食い止めるよう努力することが重要。 患者は良い方とのことなので、誠意をもって対応することが重要であり、金銭的なことを現時点でこちらから提案する必要はない。 今後、金銭の請求等をされた場合には、検討させていただきますと回答し、その場で即当しない。 |
■一般治療 一年前に薬品をつけてしまった患者さんについてのご相談。 治療中に患者さんの唇に薬品が着き、黒いあざのようになってしまい、レーザー治療の費用を負担している。 10回ほどで黒いあざがなくなると言っていて、もうほとんどわからないくらいになったが患者さんは納得していない様子で、いつまで払い続けるのか不安になり相談したい。 また、先生としてはもう終わりが見えないので、終わりにする方向を教えてほしい。 当該部位:唇の左端数ミリ程度 レーザー治療の費用:数百万円 |
アザは現在はほぼ目立たない状態(メイク等をすればわからない程度)になっているが、患者が満足せず、通院を継続しているとのことでした。 また、通院しているクリニックのドクターも、患者が治療を望む以上は仕方がないといった態度であり、当方寄りの立場ではないようでした。 このままでは現状変更は難しく、言われるがまま治療費を負担しなければならない状況ですので、最終的に今後の治療費を法的に負担する必要があるか否かは別として、まずは当方の見解をはっきりと患者に伝えるべき。 具体的には、現時点でアザがほぼ目立たない状態になっていることからすると治癒したといえる状態であり、仮に治癒していないとしても、レーザー治療を今後も継続して行う必要があるとは思われないので、今後の治療費は支払えない旨を伝える。 また、通院しているクリニックのドクターにも、単に患者の希望という理由ではなく、医学的知見に照らし今後もなおレーザー治療の必要性が本当にあるのか否かについての意見を求める。 それらの際に弁護士に相談したということを申し上げてもよい。 |
相談概要 | 対応・弁護士からのアドバイス |
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■小児患者の母親とのトラブル 5歳児が急患で来院。治療中に暴れだして指を咬まれそうになったので患者さんの頬を叩いてしまった。帰宅後、保護者から予約をキャンセルしたいと連絡があった。クレームになるかもしれないので、心構えをアドバイスが欲しい。 |
やむを得ずとっさに手が出たことは理解するが、それが行き過ぎであったという評価もありうる。 観念的にはともかくとして、お金を支払う必要がある事案ではないが、母親には直接院長から謝罪した方がベターである。 再度電話がかかってきたら謝るというのはダメではないが、後日「先日、電話した際に受付が謝っていたが、院長が直接謝るべき」等のクレームが入る可能性がある。 そうなると対応が後手に回り、収束しないことになりかねない。 お金の問題というより、子供に手を出されたという気持ちの問題と思われるので先に謝罪するなどして、感情を和らげるのがベターではないか。仮に今後金銭を請求されたとしても、それに安易に応ずる必要はない。 |
■矯正治療 患者さんの矯正治療が2年前に終了した。先日、経過観察に来院されたところ後戻りをしていた。再治療が必要な状況で治療費がかかる見込み。難症例なので、他院へ転院も検討している。 <補足>患者さんは明後日来院予定。治療費の負担の説明をするにあたり全額請求してもういいものかどうか相談したい。 |
前回の治療から6カ月後、1年後の検診の際は何ら問題なかったが、先日の2年目の検診の際オープンバイトになっていた。 その原因は2年前の治療に問題があったからではなく、不良習癖によるものと推測される。2年前の治療の際には、契約書を交わしていないが、保証をするような約束はしていない。この2年間の間に生じた新たな原因によって再治療の必要性が生じたものと考えられる。 院長が今後の治療費を負担しなければならない理由はないと思われる。 |
■応召義務 先日、初診で来院した患者さんをその後待合で待たせたため怒りだし、中に通したものの文句を言っていてしかも自分の思う様にして欲しいといってきた。前医が右上3のクラウンを数日前に入れたが右下3と当たるのが気になる、とのこと。 右下4以降は欠損しており右上2から左上2も欠損している状況で、右上3が下の歯に当たってしまうので削って欲しいといわれた。 言っていることは一応理解はできますが、当初からの態度やこちらの話を聞かない点で治療をすることのリスクが高いが話が通じずやむなく多少の処置は行った。 最後にもう来ないと言って帰っていったが、この場合、治療方針への理解が得られなかったということで治療を断ることはできないのか? また、断る事が出来たとしても出来るだけ正当の様に聞こえる説明ができると良いと思っているので、教えてほしい。 |
例えば、A、Bという治療方法があり、それぞれメリット・デメリットがあるため、それらを説明したが、患者はCという合理性がない治療を求めてくるという場合は、治療拒否してもよいでしょう。 診療内容にもよるでしょうが、歯科治療の多くは診療拒否をしても直ちに生命・身体の安全に関わるということは通常なしでしょうし、Cという治療をして欲しいのなら他の歯科医院をあたればいいわけですから、そのあたりの事情も診療拒否の正当性を導く事情の1つになると考えます。「歯科治療は、歯科医(ないし医療法人)と患者さんとの診療契約に基づくものですから、患者さんとの間で信頼関係を構築することができないなど正当な理由がある場合には、診療契約を締結できませんので、歯科治療もできません。」と申し上げるとよい。 |
■返金クレーム 担当医の態度が悪いので通院したくないとのことで、インプラント費用の全額返金を希望している。全額返金したほうが良いのか相談したい。 <補足> 担当医の対応が悪いという患者の発言は、研修医にまかせきりだったといったことに起因しているようです。MTM費用とインプラントアンカー費用を併せた金額である。契約書等は作成していない。今のままでは歯は動かないので、アンカーの位置を修正する必要がある。 |
返金の要否について、歯科医院の対応が患者に満足いただけなかった面はあるものの、治療自体には落ち度はなく、債務不履行はない以上、患者が途中で治療を放棄するというのは一方的な話であり、全額返還する必要はない。ただ、対応の悪さがあったこと、また、治療が途中で完了していないことに鑑みれば、治療費から今までの治療に要した費用を控除した残金をお返しして解決するのか妥当であろう。 なお、現状のまま他の歯科医院へ行った場合に、現在の途中から治療をしてもらうというわけにはいかないようですので、患者としては、あくまで全額返せと言ってくるかもしれないが、こちらとしては上記の対応でよい。 |
■治療費 自費治療を前提に進めた抜歯とセラミック治療の精算依頼時に、「保険のはずだ」と患者さんからクレーム。 担当医は何度も自費でやりますと口頭で言っている(但し書面はない)。患者さんの紹介者に一連の経緯を伝えると、患者さんの息子が書面を持って来て、治療費に関するクレーム、紹介者に対して説明したことが守秘義務違反、義理母を認知症呼ばわりした名誉棄損。 2週間経過しているが、相手方から返答がないので不安になり相談した。対応方針のアドバイスがほしい。 |
診療費、守秘義務、名誉毀損について、法的な心配はない。 20日程度連絡がない現状は、 ①先方が弁護士に相談するなど今後の対応を検討している可能性 ②歯科医寄りの立場にある仲介者が患者側を説得するなどしてトラブルが収束した可能性 現時点では受け身の対応でよい。 先方からのアクションがあった場合には、少なくとも金銭に関わる請求をしてきた時は、法的に正当なのか否か検証する必要がある。 |
■補綴物 同意書を交わし被せ物の治療を行ったが、セットして1ヶ月も経たないうちに自分が希望した治療ではないと言い出した。 時間をかけてスタッフが説明したが、時間が経ったら忘れてしまう。患者さんが話していた事を院長が通っている床屋さんから聞いた。 後日患者さんの姪が一緒に来院され面談することになったが、風評被害で迷惑行為だと思っている事を伝えていいものか相談したい。 |
患者は以前自費診療を行ったこともあるが、特にトラブルはなかった。 今回の治療に関しては、勝手に治療をされた、お金を返して欲しい旨電話をしてきたり、来院してその旨直接言ってくるようだが、患者が見積書にサインをしていることからしても、勝手に治療をしたということはないし、お金を返す必要もない。 患者に対して同じ説明の繰り返しとのことなので、認知症の疑いがある。後日患者が姪と一緒に来た時に、姪に対してその事実経過があると伝え、それとなく確認してはどうか。(ご本人を前に認知症か否かを直接確認はできないと思いますので。) |
■治療方針 治療方針についてのすれ違いが原因で言った言わないで、困っている。 患者さんとドクターで話をして転院する予定になったが、転院先での治療費を払ってくれるのかと言われている。怒って帰っていった。 クリニックからの連絡を待っている状態。どのように対応したらよいか相談したい。 |
右上7及び右上1については、当該患者が過大な要求をされるため、その要求に沿う治療を行うことができないとのことでしたので、診療をお断りして問題はないこと、また、その旨毅然とした態度で伝えること。 右上2について、過失を否定できない以上、当該患者がこのまま治療されることを希望されるのであれば、それを無償で実践し、他院で治療されることを希望されるのであれば、金銭賠償は避けられない。 ただ、院長が、今までの自己負担分を返金する旨伝えた経緯があるようなので、返金することを改めて伝えてもよい。 口頭でのやり取りということもあり、話がかみ合わない、ないし齟齬が生じるような状況でもあるようなので、書面でクリニックの意向を伝えるとともに、当該患者の要望を聞くのもよい。 いずれにしても、現状では、当該患者がそのまま治療を継続されるのか否かにつきはっきりしません。 今週半ばころに当該患者の夫と今後についての話をされるそうですので、今後の方向性が定まった後に、必要あれば再度ご連絡ください。 |
■患者さんとのトラブル 患者さん(友人)から弁護士を通して内容証明が届いた。どうしたらよいか相談したい。 |
1,内容証明文書の1については、院長の夫である先生が治療したとのことですので、ご相談者である院長がカルテ開示等をすべき立場にはない旨お伝えしました。 MRIを撮れないというのは間違った医学的知見である等いろいろおっしゃっていましたが、その点を議論する必要はないこと、仮に回答書面に記載するにしても簡単に触れればよい。 2,内容証明文書の2については、患者が領収書は不要である旨言ったことから領収書を交付しなかっただけであり、交付可能とのことでした。 なお、領収書を交付していないが適正に税務処理をしており、税務署との関係で何ら後ろめたいところはないが、単に領収書を交付すると「税務署に相談する」という内容証明の文言を恐れて交付したと思われるので、単に交付はしたくない旨おっしゃっていました。そのお気持ちは理解するが、その点は気にされる必要はない。 3,内容証明文書の3については、患者から頼まれてヒアルロン酸を購入し、それを患者のために預かり保管していたとのことですので、理屈上、金銭を返還する義務はないので返還拒否という態度も考えれる。 他方で、院長のそれらの主張を裏付ける客観的な証拠が十分ではないので、今後のトラブルリスクを踏まえると、支払う方向で検討することもありうるところである。 いずれの方向で行くのかは、弁護士と相談しながら最終的には院長ご自身が決めるべきことかと思います。 |